No.568
絶好調の韓国コンビニ
嚴 在漢
2016/8/9
ソウル市内のあるGS25の様子
韓国のコンビニエンスストア(以下コンビニ)業界は、絶好調を謳歌している。コンビニの韓国語はそのまま「便利店」で「顧客の便利のために長時間または24時間営業する雑貨商店」と意味づけている。意味どおりに、まさに便利さを求めて進化してきたのが、韓国のコンビニなのである。
韓国コンビニ業界の売り上げの拡大速度はオンライン・ショッピングに比べて、50%強も早い。特に、コンビニの弁当商品は今や年間5000億ウォン(約476億円)規模に急成長。また、コンビニでのクレジットカードによる決済金額も初めて月間1兆ウォン(約952億円)台を突破している。
2016年1月から5月までのコンビニ業界の累計売上高は、前年同期比23.5%増の7兆4432億ウォン(約7089億円)となった。これは同期間のオンライン・ショッピングとTVショッピングなど無店舗における小売業の売り上げ増加率(16.6%)を大きく上回っている。また、韓国全土のコンビニ数の推移は、12年の2万4559店から14年に2万6020店となり、16年6月時点では3万700店へと増え続けている。
コンビニ業界では12年に初めて売上高10兆ウォンを突破し、16年には20兆ウォン(約1兆9048億円)を超えると予想している。特に、コンビニにおけるクレジットカードの決済額は16年5月だけで1兆1000億ウォン(約1048億円)を記録した。前年同月比のカード決済額の増加率は、コンビニ29.9%、百貨店3%、大型マートはマイナス2.7%となり、コンビニが断トツとなっている。
コンビニ業界が成長を続ける要因は、1人暮らしが増えることに伴い、取り扱う品目や業務が多種多様になっているからだろう。コンビニで対応できる金融業務は、銀行窓口の90%を占める107種類に達する。また、郵便局、薬局、役場などといった社会インフラの機能も果たしている。さらに、韓国のコンビニ業界は、16年に入ってからは外国人を対象に個別消費税と付加価値税を還付する事後免税店にも登録している。
韓国のコンビニの歴史を紐解くと、1982年、軍事政権による「夜間通行禁止」とともに登場。「ロッテセブン」というブランドが最初であった。しかし、当時の市民生活とはかけ離れていたことから、2年後には閉店してしまった。当時の韓国小売業界ではフランチャイズ商法という概念はなく、町や村ごとの小さな店が主流であった。
セブン-イレブンの店内では飲料なども飲める
現状のようなフランチャイズ業態のコンビニができたのは、89年にオープンしたセブン-イレブンの「オリンピック選手村店(ソウル市松坡区)」で、いまも営業している。その後、90年にファミリマート(現CU)とLG流通(現GS25)などが参入し、コンビニは1つの大きな産業に成長した。
11年以降、企業間の買収合併(M&A)が盛んになり、一時は10社ほどに達したコンビニブランド。いまはCUとGS25、セブン-イレブンのビッグ3体制に再編されている。今後、非常薬や多くの業種を取り扱うことから、コンビニのさらなる進撃が期待されている。
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