2016年12月22日木曜日

[食品人文学]米粒ごとに程よい甘み、シッケ

2014/12/05

正月を控えて<東亜日報>では金八峰(金八峰、1903~1985),李無影(李無影、1908~1960)に‘忘れることはできない正月料理’を主題で短い文をお願いした。金八峰の文冒頭は“正月に特徴ある韓国料理のうちで簡単に指を折って数えることができる食品はトック、ギョーザ、シッケ(甘酒)、スジョングァ、略式、チャプチェなどだ”と始める。 田舎出身である李無影は高級料理よりは素朴な料理を食べたいといってシッケとスジョングァを抜かさなかった。

シッケは酸味、シクヘは塩味が出る  

粛宗の御医を務めた李時弼(李時弼、1657~1724)が作った《謏聞事説》という本にはこの頃のシッケと似ていた調理法が登場する。漢字で書かれたこの本ではシッケを‘食醯’と書いた。

先に精白大米を何度も搗いて蒸した後、水をとても少しだけ混ぜて実らせたご飯が粒ごとに皆散るようにする。 (中略)その次に取り出して壷の中に入れて、別に麦芽を沸いているお湯に永らく漬けてカスをままで取りはらいてその水を壷の中に注ぐが、ご飯がかろうじて浸るほどでだけ注ぐ。 紙で壷入口を封じてオンドルに置くが、たとえば宵の口にオンドルに置いたとすれば鶏が鳴く時ぐらい取り出して冷たいところに置かなければならない。 もし永らくオンドルにおくと、味がすっぱくなるためだ。


李時弼は《謏聞事説》でシッケのうちで今の開城である松島のものが味が非常に良くてソウルで作ることより良いといった。また、別にシッケをよく作るある宮人の家の召使いに伝え聞いた三種類の秘法を書き留めた。

最初にはご飯を冷ました後に冷たい水に洗って粒ごとに乾かす方法. 二番目は雪のように白い蜜をたくさん混ぜて作る方法. 三回目は果物をたくさん入れればおいしくないからひたすら大きくて良いユズをまるごとご飯の中に入れれば米粒が粒ごとに完全で色も白くてきれいに作れるといった。これで推察して17世紀漢陽を中心にシッケが非常に流行するようだ。 ところで問題はこのシッケの由来がどこから出発したのかだ。

本来中国の周の時代には漢字‘食醯(シッケ)’の‘醯’は動物性材料を‘酢’に漬けて作った料理を示した。また、発音が同じ‘食醢(シクヘ)’という料理もあった。シクヘはシッケとは違い動物性材料を‘塩’に漬けた料理を示した。だからシッケの味は酸味が出たし、シクヘの味は塩味が出た。
 
1924年に初版を出した李用基(李用基、1870~1933)の《朝鮮無双新式料理製法》にもシッケが登場する。イワシシッケ、大邱シッケ、タチウオシッケとともに全羅道のガンギエイシッケまでシッケ類に対して言及したがこれら魚が入った料理は‘シクヘ’といってこそ正しい。 李用基は言及しなかったけれど、この頃広く知られた‘安東シッケ’は事実《謏聞事説》で話したシッケに細かく切ったダイコン、みじん切りにしたショウガ、粉唐辛子水を入れて水を豊かに注いで漬けることだ。
 
‘醢’と‘醯’をまともに区分できなかった慶尚道の人々はシッケを‘甘酒’と呼ぶこともした。だが、甘酒はもち米した話を蒸して麹粉半升を水に入れないで良い酒を瓶の半分に混ぜて仕込む酒だ。その味が蜜味と同じだといって甘酒だと呼んだ。 結局《謏聞事説》方式のシッケ(甘酒)は朝鮮中期以後漢陽で改良されたうるち米と麦芽で作ったシッケ(甘酒)だということがわかる。 シッケとシクヘの混乱は1960年代まで持続した。


オリンピック食品、大韓民国シッケ

経済的な自信がつき始めた1970年代初期、食品学者は政府の支援を受けて伝統料理の現代化に飛び込んだ。だが、このプロジェクトを主管した韓国科学技術研究所の食糧資源研究室食品学者はシッケ(甘酒)の甘みが商品化の障害物だと判断して研究を先送りした。特に政府が混粉食奨励運動を推進してうるち米を主材料で作るシッケ(甘酒)は家庭ですら作ることができないようにした。
 
それでも陰暦正月には必ずシッケ(甘酒)を飲んだ。1980年代初期電気釜で手軽にシッケ(甘酒)を作る方法が開発されて消えるようだった家庭製造シッケ(甘酒)がよみがえった。この頃中小食品会社で缶に入れたシッケ(甘酒)製品が発売されて主に海外で輸出し始めた。さらに1988年ソウルオリンピックが確定して1984年からシッケ(甘酒)は‘オリンピック食品’で商品化の対象になった。 1993年非常に水準高い食品生産技術が入った缶飲料シッケ(甘酒)が市場に登場した。 甘みは即座に若者たちの食欲を刺激した。 特に1990年代中盤民主化運動の成果は‘反コーラ’感情を呼び起こしたし、その結果缶飲料シッケ(甘酒)は韓国的な飲み物として人気を集めた。
 
1960年4月21日に亡くなった作家の李無影がそのように解酲で飲みたがったシッケ(甘酒)はもう飲み物自販機やコンビニでも簡単に手に入れることができる飲み物になった。 しかしおばあさんやお母さんが正月を控えて夜通し苦労して作ったシッケ(甘酒)の味とは違うので、これやはり仕方ない世の中の道理であるようだ。


http://mediask.co.kr/1910

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